既存概念の刷新
照明の明るさ、色、時間変化、シーンからシーンへの流れるような変化、緻密なスケジュールなど、こうした変化を自動で実行する照明制御のプログラムは、これまで決して簡単なものではありませんでした。
Pharosエキスパートは、驚異的にシンプルなプログラミングコンセプトにより、これまで特殊なスキルを必要とした照明制御の問題を解決するソリューションを提供します。
平面図を配置した画面に照明器具を自由自在に配置し、それら照明器具をスペースという枠で分類、分類されたスペースに照明シーンを置くことで、そのスペース内にある照明器具だけをターゲットとしたシーンが作成でき、専用のタッチデバイス自体も、スペースに配置することで、同じスペースにある照明シーンのマスターやボタンをタッチパネルに自動で生成することができ、照明シーンと連動したタッチパネル画面自体を作成するのでなく、自動生成する点は画期的に新しいコンセプトです。
さらには自動実行のためのスケジュール自体も、タグコンセプトにより、個々のシーンをカレンダーに設定するのではなく、タグと呼ばれる条件(季節、特別な日、昼と夜、24時間リズムなど)を定義しておき、そこに再生したいシーンを関連づけることで、スケジュール設定は、もはや不毛で退屈なプログラムではなく、シンプルでスマートな半自動の設定へと進化します。
高い信頼性を持つPharos製品のDNAを引き継ぐエキスパートは、24 時間年中無休の稼働と信頼性を実現するソリッドステート ハードウェアであり、コンパクトな DIN レール エンクロージャにより、制御ラック内への簡単な設置を実現し、1つのユニットで、DMXとDALIという2つの照明制御プロトコルを出力することで、多様な照明機器、異なるタイプのLED制御を1台で制御、管理することが可能です。
エキスパートソフトウェア
斬新なプログラムワークフローコンセプト
照明制御プログラミング(シーン作成と実行)は、それらを行う前に、照明器具の選択、2Dレイアウト画面の作成、DMXパッチなどの事前準備、そして照明器具を選択し、固定シーンや動的シーンの作成、保存と続き、最後にそれらを実行する方法という流れでプログラミングを行います。
- 使用する器具選択
- 器具レイアウトとパッチ
- 照明シーン作成
- シーンの実行
この工程を極力シンプル化し、個々の作業を簡素化するための数多くの工夫がエキスパートのワークフローに見ることができます。
ヘルプメッセージとナビゲート
照明プログラミングに精通した人でなければ、照明プログラミングをスタートする際、何から始めればよいかまったくわからないのが普通です。エキスパートは、こうした初心者のためにワークフロー全体を通して、ウイザードスタイルのヘルプメッセージや提案を表示し、操作すべき内容や方法をユーザーが自然と気づく様にデザインされています。どのパートにおいても、スクリプトの作成や熟練したプログラムスキルなどを不要とし、照明制御プログラムを完成させるようユーザーを正しい順番でナビゲートします。
- Add fixture : 使用する照明器具の定義
- Patch Fixture : 照明器具のパッチ
- Add tag set : 照明シーンの実行条件のタグ定義
- Add Scene: 静的、動的な照明シーンの追加
- Tag scene : 照明シーンとタグの関連付け
- Schedule event: タグのオンまたはオフ
余分な機能を排除した器具選択
エキスパートを使用する現場は、屋内または屋外に設置される自動運転で運用される照明設備です。多くの照明コントローラーの場合、演出産業から設備産業に転用されたコントローラーが多く、また設備向けのコントローラーでも、多様性を持たせるがあまり、エンターテイメント分野の照明器具ライブラリーを搭載し、セットアップ時、メーカー名と照明器具名で検索して使用する照明器具を選ぶスタイルです。
エキスパートではこれらエンターテイメント分野の照明器具は潔く除外し、LED器具のみにフォーカスしています。オンラインにある専用のサーバーから任意の照明器具ライブラリーをダウンロードすることもできますが、ムービングライトなどは除外されており、あくまでLEDやDALI バラスト、コンベンショナルライトが主体となっており、照明器具のセットアップから煩雑な部分を排除しています。
多様なツールを持つ器具レイアウト
事前に必要な照明器具リストを設定したら、そのリストから使いたい器具をクリックし、2Dレイアウト画面上で再度クリックするだけで、連続的に照明器具を配置できます。キャンバスの背景に平面図などを適用すると、その配置も直感的に見やすくなります。さらにリストから照明器具を選んで画面上でドラッグ&ドロップすると、器具をアレイ状に配置したり、円形に照明器具を配置することも非常に簡単にできます。
スペースという概念
スペースは2Dレイアウト画面内を任意の範囲に分割定義する機能です。スペースは色分けされ、レイヤー構造で、そこに含まれる照明器具を分類して管理するために利用されます。ここまでは他のシステムにもありそうな機能ですが、エキスパートの場合、このスペースを照明シーン、タッチパネル装置と組み合わせることで、スペースコンセプトを唯一無二の存在に昇華させました。
エキスパートでは照明シーン自体をこのスペースの中に配置します。こうすることで、その照明シーンを構成する照明器具はスペース内にある照明器具だけに限定することができます。さらに同じスペース内にタッチパネルステーションを配置することで、タッチパネルステーションに表示したいシーンの再生ボタンやマスターフェーダーなど、任意のスペースに限定したタッチパネルステーションを作ることができます。
操作パネルの自動生成
タッチパネルステーションとスペースを組み合わせることで、制御対象のデバイスが絞り込まれ、同時に同じスペースで利用可能な照明シーンも特定することができることで、操作パネルに表示すべき必要な情報が揃います。
操作パネルに必要なボタンやフェーダーは照明制御においては、そのほとんどがシーンの再生、ストップ、消灯、マスターフェーダーの有無など一定の機能に限られます。これによりエキスパートのシステムでは、タッチパネルステーションに表示するボタンやフェーダーなどをウイザード形式でユーザーに選択させることで、操作パネルをプログラマーがデザインすることなく、自動で生成することが可能となっています。このことは照明プログラマーにとって、これまで非常に手間のかかったユーザーパネルの設計、プログラムをエキスパートの自動生成に委ねることで、照明操作パネル設置の際の負担軽減が実現します。
2タイプの照明シーン
照明シーンはスタティックシーン(静的)とダイナミックシーン(動的)作成が可能です。スタティックシーンは、スペース内にスタティックシーンを作成して、選択可能な照明器具をカラーピッカーやインテンシティーレベルを入力して照明の見た目(Look)を編集します。これは、誰でも簡単にスキル不要で作成が可能です。
動的シーンの場合は、ビルトインされた数多くのパターンを選択、適用し、その色合いやスピードなどを調整して変化のあるシーンを作成します。これは非常に合理的なアプローチです。照明プログラム経験が浅い人にとって、動的なシーンはその変化パターンをどうすればよいか?すぐによいアイデアは浮かびません。
こうした場合に、ビルトインされたいくつものパターンを試し、そのスピードや色の順番をカスタマイズするだけで、クライアントが求める要求に即座に対応できるかもしれません。また設置現場によっては、こうした組み込まれたパターンの中の1つで十分なケースも数多くあります。こうすることで、動的シーン作成における余分な機能を排除し、プログラミング方法を簡単にすることができます。
タイムラインとメディア
もし変化する照明シーン(ダイナミックシーン)の明確なデザインが決まっているのであれば、ビルトインパターンではなく、映像を作成し、それを適用する方法が用意されています。これはタイムラインを作り、Mediaを読み込んでから、タイムラインにそのメディアを追加することで利用できます。この方法は、すでに明確なデザインが決定している動的イメージを、複雑且つスキルが要求されるプログラムで解決せず、映像を照明変化として利用するという合理的な選択です。
これにより、エキスパートの照明シーン作成においては、プログラミングスキルが要求される複雑な設定やパラメーター操作は一切、不要となり、動的シーン作成はビルトインパターンを選択するか、またはメディアによるピクセルマッピングを使用するかの2つになります。
潔く照明変化を生み出すプログラミング機能をすべて排除することで、このコントローラーは驚異的に簡単な操作で静的、動的なシーン作成を可能とし、コントローラーの操作方法を習得する時間を短縮しています。
タグ&スケジュール
エキスパートと他のシステムの違いを決定的なものとする機能として、タグという概念があります。本来、照明シーンを作成したのち、多くのコントローラーでは外部からの制御でなければ、時間による実行を行います。これがスケジュールと言われる設定ですが、スケジュールの設定は非常に煩雑さを伴う作業で、年、月、日、そして曜日と時間など、再生したいタイミングそれぞれに、照明シーンの再生を定義する必要があります。そして変更などがあった場合は、また同じ手順を踏んで、正しいタイミングに定義しなおす必要があります。加えて、シーズンと特定の曜日、特定のワーキング時間帯など複数条件で再生を定義する場合など、そのプログラム設定は非常に煩雑化し、ミスを誘発することを多くの経験者が感じていると思います。
エキスパートではスケジュールに直接、再生シーンを定義するのではなく、タグと呼ばれる実行タイミングの条件をいくつか事前に設定しておき、そのタグと再生させたいシーンを関連づけし、それぞれのタグをオンにするだけで、再生スケジュールに登録が行われます。
Tagは大分類として、下記の項目に分類されます。
- 昼間 or 夜
- 24時間リズム
- 稼働時間帯(お店の稼働日時間帯など)
- 曜日(日曜による定義)
- 季節(個々のシーズンの開始と切り替わりを定義できます)
- カスタム
それぞれの項目の中に、さらに詳細な定義をすることができる分類があり、例えば季節は4つのタイミング以外に、指定した月日のタグ設定ができる他、24時間リズムなどは、朝、昼、夕方、夜以外にユーザーが特定の時間帯を追加することができます。また、稼働時間帯は曜日によって時間帯を変更することもできます。日本特有のお休みや特定の年だけ月だけのイベントが必要な場合はカスタムを使うことができます。
定義されたタグに特定シーンを関連づけるTag Scenes設定において、複数のタグが一覧で表示され、再生したい複数のタグをオンにすることができます。これにより複数条件によるシーン再生が可能になります。実際のスケジュールでは、必要なタグをオンにしながら、カレンダー表示で、スケジュール設定を確認することができます。このタグという仕組みにより、これまで非常に手間がかかったスケジュール設定が驚くほど簡単且つわかりやすいものになりました。
ハードウェア
エキスパートコントローラー
Expert Touch(タッチパネルステーション)
エキスパートスイッチ(PoEスイッチ)
エキスパートリピート
システムデザイン
エキスパートのシステムは、1台のエキスパートコントローラー(XPC1 またはXPC2 )にマニュアル制御のためのタッチスクリーン、エキスパートタッチ、そしてこの2つを繋ぎ、電源を供給するエキスパートスイッチで構成されます。エキスパートのシステムでは、1つのプロジェクトに1つのコントローラーしか存在できません。(拡張ができない)
この1つのコントローラーで複数のエリアをゾーン分けし、制御、管理を行います。コントローラーはDMXの出力数違いで、512ch出力と1024ch出力の2つのモデルが選択できます。また、1つのプロジェクトに参加できるタッチパネルステーションは、最大32台となります。
スイッチは一般的なPoE対応のネットワークスイッチが利用できますが、DINレールに設置可能なコントローラーと同デザインのエキスパートスイッチは非常に簡単に制御盤内に設置が可能です。そしてこのエキスパートスイッチにはDC電源が別途必要になります。
コントローラー本体はDC電源入力があるため、タッチパネルが不要で、コントローラーによる自動運転のみのシステムにする場合は、コントローラー本体のみ設置でも運用は可能です。