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Moving light control

Pharosコントローラーでムービングライトを制御する

舞台やイベント産業の分野で数多く利用されるムービングライトという製品は、インテリジェントライトというカテゴリーでミラーが動いてランプの光軸を動かすミラースキャナーやランプを格納した本体が動くムービングヘッドタイプを含め、ムービングライトと総称され、夜空に放つサーチライトや、LEDピクセルを複数、搭載した照明器具も(パン横の動き)とTilt(縦の動き)の機能を持つものはすべてムービングライトとカテゴライズできます。

この動くライトの制御には、これまで舞台産業の特殊なコントローラーが必要でした(又はクラブやディスコなどの分野で利用するコントローラー)しかしPharosコントローラーは、建築照明に特化したコントローラであるにも関わらず、驚くほど簡単にこれらムービングライトを制御することが可能です。ここではPharosコントローラーを使ったムービングライト制御について解説します。

 

Fixture ライブラリー

インテリジェントライト又はムービングライトと呼ばれる製品は、1台の装置で明るさ、色だけでなく、動きやズームなど多様な機能を有するため、複数のDMXチャンネルで制御します。LEDがRGBの場合、3chのDMXが必要となるように、ムービングライトもRGBに加え動きを表現するチャンネルが加わり、それらのチャンネルマップを定義したFixtureライブラリーが必要になります。

Fixtureライブラリーはxmlやtxtのファイルで作成され、コントローラそれぞれの仕様に基づき、DMX ch1が横軸の動き、DMXch3が縦軸の動きなどをムービングライトのメーカーごとに用意されたDMXmapデータに基づいて作成されます。( 右表ムービングライトメーカーのFixture DMXMap例)

Pharosコントローラーにはデフォルトで組み込まれたライブラリーデータがあり、これはレイアウトタブを開くと右端にリストとして表示されます。このデフォルトライブラリーに使用したいFixtureのデータがない場合は、ダウンロードボタンをクリックすることで、オンラインにあるPharos独自のデータベースからデータをダウンロードすることが可能です。ライブラリーはメーカーごとに分類されています。

 

オンラインのデータベースからダウンロードされたライブラリーデータは、レイアウトタブの右端のリスト内にメーカーごとに分類表示され、レイアウトビューの中にドラッグ&ドロップすることができます。

通常のLED等と異なり、ムービングライト等はMoving Yokeのアイコンで表示されます。

こうしたムービングライトをセットアップできるPharosコントローラーの機種はLPC、TPC又はLPC-Xなどに限られます。VLCとVLC+は映像を使った照明制御の製品のため、選択できるFixtureはLEDピクセルなど画面を構成する色や明るさ等のアトリビュートを持つ機材に限定されます。

 

プログラミングコンセプト

Pharosコントローラーは動的な照明シーンをタイムラインで表現します。その変化パターンをビルトインパターンをタイムラインに配置してそのパラメーターを操作することで、多彩な変化をデザインします。しかしタイムラインに配置したパターンで表現できるのは、色の変化と照明の点灯パターンだけに特化しており、ムービングライトの動きやカラーホイール、Goboの切り替えなどは表現できません。

ムービングライトには、照明の色とインテンシティー(明るさ)の機能以外にポジションやGobo、ズームやアイリス、エフェクトなど機種によって非常に多くの機能(アトリビュート)があります。これらを操作するのは、タイムラインではなく、固定シーンを使って作成します。

 

固定シーンの使い方

固定シーンは変化のない静的な照明シーンの作成ができます。シーンを作成するには、まずシーンを新規作成します。そのシーンをリストから選択しておいて、照明器具の操作を行います。保存や記録といった手順はなく、操作した結果がそのまま選択してあるシーンに残ります。と同時に選択した時点でそのシーンに含まれるデータがすぐさま再生されます。

そのため、誤って保存したくないパラメーターを操作してしまい、後からそれを削除するためにノックアウトボタンが各アトリビュートにあります。これをクリックすると色や明るさ、ポジションなど特定のアトリビュートを選択したシーンの中から除外することができます。

ムービングライトをシーンに記録する場合、通常の照明器具同様にインテンシティーと色を操作し、アトリビュートをポジションに切り替えて、ポジションを操作します。もしズームやフォーカスなどのアトリビュートを持つムービングライトであれば、Beamというタブに切り替えるとそれらが表示されます。

ポジションタブを選ぶと、トラックパッドのような画面が表示され、マウスを操作すると赤十字が表示されます。画面内でマウスを操作すると選択されたムービングライトが縦に横に動くのがわかります。トラックパッド画面の下にPanとTiltの数値レベルが表示されますが、PanとTiltどちらか一方を動かしたい場合は、鍵マークをクリックしてロックすることが可能です。

 

 

固定シーンをタイムラインに配置

ムービングライトはAポジションからBポジションへ光を動かすことが可能です。これを表現する簡単な方法は2つのシーンを作成し、シーンからシーンへフェードチェンジする方法になります。このシーンの数を増やすことで、さらに複雑にポジション移動しながら、照明の色を変化させたり、同時にズームなどで光の大きさなどを変化させつつムービングライトの効果を作ることができます。

この場合、個々のシーンは変化し終えた最終の状態を作ります。(例:シーン1:Aポジションで色は赤、シーン2:Bポジション色は白)この2つのシーンを順番にトリガーするとその変化を見ることができます。

これを連続的に実行したい場合、作成したシーンをタイムラインに並べるという方法があります。目的のシーンが一定数作成できたら、シーン再生の状態を一旦、クリアエディターをクリックしてニュートラルな状態にします。(シーンの中身は消えません)

 

 

タイムラインのタブを開いて、右のビルトインパターン表示を、シーンに切り替えると作成したシーンの一覧が表示されます。これをタイムライン上のシーン欄にドラッグしていくとタイムラインにシーンを並べることができます。タイムラインを再生すると配置したシーンが順番に再生されます。

先述の通り、Pharosコントローラーでは動的な照明の変化(色と明るさ)についてはタイムラインにパターンを配置して作成しますが、もしシーンに色や明るさのデータが入っている場合、同じ照明器具全体にタイムラインの変化パターンを適用しても、シーンが優先されます。これをタイムラインのパターン優先にしたい場合、Fixture全体ではなく、個々のFixtureそれぞれにパターンを適用することでタイムラインのパターン優先に変更ができます。

連続的な動きのエフェクト

ムービングライトの動きをシーンで作成すると、例えば滑らかにサークルを描くような連続変化の場合、より滑らかに動かすためにはシーンを多数作成する必要があります。また連続性を持たせるにはタイムラインをループさせる必要もありますが、タイムラインのショーは1ショットで作成したい、しかしある時間帯では連続的にムービングライトが動き続けるシーンを作成したいといった要求に、昨今の照明コントローラーはムーブメントエフェクトという機能を持ちます。

ポジションタブの右下にあるFXをクリックすることで、そのパラメーターが下部に表示され、Shapeというオプションが選択できるようになります。これは関数波形の連続性を利用し、PanとTiltにサインやコサインの波形を割り当てて、サークル(Pan=sin、Tilt=cos)シェイプなどを作成する手法です。

 

Shapeの一覧からCircleを選び、ポジションの赤十字をマウスでドラッグするとサークルが表示されます。センターの赤い十字がサークルの中心になります。このセンターを中心にムービングライトはサークルを描きます。マウスで十字をドラッグすることで中心を移動させることができます

Periodの数値を変えることで、スローにしたり早い動きに変えることができます。またStyleのパラメーターをSpreadにすると、複数あるムービングライトの動きが1つに同期していた状態から、全てバラバラに動き出します。DirectionをFowardsからBackwardsにすると動きが反転します。

 

このシェイプを使ったムービングライトのムーブメントは、シーンをクリアエディターするまで継続します。もちろんシーンを再選択すると再生されます。このシーンをタイムラインにおいて、その前後に動きのない固定シーンを配置すると、タイムライン上のこのシーンが継続している時間だけサークルシェイプの動きになり、次の固定シーンにタイムラインが進むと、この連続的な動きから固定シーンの位置へフェードして終えることができます