Expert ソフトウェアを使う
エキスパートソフトウェアは、Pharos社のエキスパートシリーズ製品用に用意される照明器具のレイアウト作成、シーン作成、スケジュール作成などを行うプログラミングツールです。WindowsとMAC用の両方のバージョンがあり、フリーでダウンロード可能です。実機のコントローラーがなくてもオフラインでプログラミングが可能です。最終的に完成したデータはコントローラー本体にアップロードすることで、コントローラーが設定されたシーンをスケジュールに従い自動運転を行います。
ソフトウェアの起動
エキスパートはどなたでも簡単に照明シーンの作成と制御ができるよう、ウイザード形式で必要な作業を順番に行うようにデザインされています。ソフトウェアの起動時には、ウイザード画面が開きます。
エキスパートのウイザードワークフローは下記の順で行われます
- 1 プロジェクトのプロファイル入力(名称など)
- 2 使用する照明器具の選択
- 3 レイアウト画面(キャンバス)の設定(サイズや背景写真等)
- 4 シーンを再生するきっかけとなるタグの初期設定
- 5 機器を設置する場所(都市や緯度経度の設定、タイムゾーン)
- 6 使用するコントローラーの選択
このウイザードを無視して、右下のCreate Projectへ進んでも、あとから各種設定はできます。ウイザードを使わず、それぞれの機能を見たい場合は、ウイザードウインドウの右下にあるグリーンボタン(Create Project)をクリックします。
ウイザードを使わず、プロジェクトを作成すると上図のようなトップスクリーンになります。センターのウインドウはキャンバスと言い、ここに照明器具を配置したり、それらのためのゾーニングを行うスペースを定義します。そのため、画面背景に平面図やピクチャーを貼りつけ、わかりやすい見た目に変更ができます。
照明器具、スペース、照明シーンなどの画面内への追加は、右上の+キーで行い、キャンバス設定はその隣にあるダイアルアイコンで行います。左上の角にあるメニューボタンでは、プロジェクトの新規作成やクローズ、アプリケーション全体の設定、Edit Project Profileで、ウイザードの最初のステップにあったプロジェクトのプロファイル設定ができます。
照明器具の選択
使用する照明器具を選択します。右上+ボタンを押してFixture を選択、表示されるダイヤルアイコンをクリックして、Choose Generic typeを選び、リストの中から、必要な照明器具にチェックを入れます。ここで選択した器具は、キャンバスの中でスペースを定義した後に、配置します
キャンバス設定とスペース
右上のダイヤルアイコンをクリックすると、画面の設定ウインドウが開きます。ここでは照明器具などを配置するキャンバスの設定を行います。使用する単位(m、mm, cmなど)、背景に配置するイメージの選択、キャンバスサイズなどを入力して、右下のFinishをクリックします。
背景画像に使用できるのは、JPEG, PNG等のイメージファイルです。イメージ画像を読み込むと、使用する範囲をクロップ機能で切り取りができます。
背景画像が読み込まれると画面にはその画像が表示されます。この画像の上でスペースを定義します。このスペースという概念が、このエキスパート製品の大きな特徴で、このスペースに照明器具を配置することで、それら器具を場所で分類、管理できるようになります。また、このスペースには照明シーンも配置し、特定のスペースだけを制御するシーンなどが作成できます。
+キーでSpaceを選択し、マウスを画像の上でドラッグすると、矩形のスペースが作成できます。ドラッグせずに、複数回クリックして多角形のスペースを作成することも可能です。
定義配置したスペースは選択すると右のプロパティーウインドウ内で、名称や色などを変更できます。分割配置された複数のスペースをおおうようにして、全体のスペースを定義すると、個々のスペースに依存しない全体制御を可能とするスペースがつくられます。
照明器具の配置
先の照明器具の選択で、選定された器具は+キーをクリックしてFixture を選択するとリストに表示されます。
配置する器具を選んで、キャンバス内のスペースの上でクリックすることで照明器具は配置されます。エスケープキーを押すまで、選択された照明器具の配置が連続的に行えます。
Patch 照明器具の出力チャンネル割り当て
照明器具を配置すると自動的に画面下部のTabがPatchに切り替わり、照明器具の出力DMXチャンネル割り当てが可能になります。
配置が終わった照明器具を選択して、下部のパッチ画面にドラッグ&ドロップするだけでパッチは完了します。使用する製品のDMX出力が2ポートある場合は、プルダウンメニューから出力を切り替えてからパッチ作業を行います。
ローカルDMX出力ではなく、イーサネットベースのプロトコルsACNやArtnetを使用する場合、パッチウインドウの右端にあるダイヤルアイコンをクリックして、任意のプロトコルを追加することが可能です。ローカルDMXポートとの併用も可能です。最大使用チャンネルがその製品の最大出力の範囲内で利用が可能です。
TAGの初期設定
TAGという概念もまたこの製品を特徴付ける機能です。TAGは後に作成する照明シーンを関連付けることで、照明シーンの再生を行うスケジュールの編集において、非常に簡単にスケジュールカレンダーの中に組み込むことができます。
タグは照明シーンを繰り返し一定のパターンで再生するパターンを定義したものです。例えばシーズンごとに毎年切り替わるシーンがある場合、それらは春、夏、秋、冬の4つのタグが存在します。また、土日を除く毎朝、繰り返し起動される朝のシーンや、24時間リズムで自動変化するタグの場合、朝、昼、夕方、夜など複数のタグが設定できます。こうしたタグをあらかじめ作成しておき、作成したシーンを関連づけてスケジュールに組み込むのが、このタグの使い方です。
Tagの設定は画面下部のタブをControlに切り替えて、Configure TAGをクリックします。まだ作成したTAGがないので、no Tagの表示になるので、+キーを押すことで右のTAG設定メニューが表示されます。
上図のタグメニューから、Day or Nightを選ぶと、日没と夜明けの設定が表示され、これをコミットすると自動的にDaytimeとNIghttimeの2つのタグがつくられます。また24時間リズムの場合、24時間の中で自由に時間帯を設定して複数のタグを作成することができます。
照明シーン作成
照明シーンはキャンバスの右上にある+キーで追加します。メニューからScenesを選び、静的なシーン又は動的なシーンを選択します。照明シーンも照明器具と同じくキャンバス上のスペースの上または、スペース外の場所(この場合はすべてのスペースにある照明器具を制御可能)に置くことで作成が編集がスタートします。特定のスペースに置いた場合、そのスペースに属する照明器具のみに影響するシーンを作成できます。
静的なシーン(Staticシーン)は作成すると、そのスペースにある照明器具が自動的に選択され、画面下部にはインスタント入力のレベル(%)表示とカラーが表示されます。(カラー属性をもたない器具の場合はレベルのみ)また右上のプロパティー欄にはカラーピッカーやレベルゲージなども表示されます。必要であれば照明器具を個別に選択して個々にレベルや色を設定できます。
動的なシーンを作成した場合は、右のようにプロパティー欄にパラメーターが表示され、エフェクトのメニューをクリックして表示されるリストから選択し、個々のパラメーターで動きを調整します。
シーンのTagへの関連付け
作成された照明シーンをTagと関連付けを行うには、TagScenesをクリックします。
これを開くと、左の欄にスペースごとのシーンが表示され、右にtagが表示されます。照明シーンを選んで関連付けるtagをクリック(選択する)だけで個々のシーンにタグが割り当てられます。